2023-07-04

いろいろ

3月末に叔父さんが死んだ。親父の時もだが、ちょうど太っている時期だったからスーツが着れなかった。今回のほうが酷くて、ジャケットを羽織っただけのほぼ私服で参列した。普段から太っているわけでもなく、何年かに一度こういう自堕落な時期があるだけなのに、毎回この時期に葬式が重なる。僕が体重80キロを超えると誰かが死んでしまう。


小説を書いて、文学賞に応募した。行けるような気もするし、全くダメな気もする。応募した後で芥川賞作品や直木賞作品を読んでみたけど、僕は語彙力が足りないし、品が無い。


応募した後でダイエットを始めた。まだ始めたばかりだけど、今回は「サラダとチクワしか食べない。あとはハイボールを飲んで空腹をやり過ごす」というやり方。炭酸を多めにして作っているから、酔う前に腹がふくれる。それほどストレスを感じる事もなく痩せる事が出来そうだ。


母ちゃんから連絡があって、どうやらテレビが壊れたらしい。母ちゃんは独居だからコレは辛いだろうと思って、ネット通販ですぐにテレビを買った。数ヶ月前に詐欺サイトで騙された経験があるから代引きにした。

注文した後で、いくら待っても通販サイトから確認のメールは来ないし、問い合わせをしても返信が無い。代引きにしたから良かったものの、テレビが届かないのは困る。調べてみると、その通販サイトはキャンセル不可だし、電話番号はどこかの幼稚園だった。もう通販は怖いなと思って、彼女が休みの日を待って、二人でテレビを買って持って行く事にした。


と思ったらテレビがちゃんと届いた。あの通販サイトは良心的な値段で、指定した日に指定した時間に発送してくれていた。早速、設置するために久しぶりに知立へ戻ったら、知立駅ががらりと変わっていた。「知立市はトヨタ系の会社が少なく、ベッドタウンだから人口のわりに税収入が少ない。ゆえに、何をするにも時間がかかる」と、小さい頃から親父が言っていた。駅の工事は何年前からやっていたのか忘れたほどだが、本当に変わるとは。僕は「工事しているフリをしているだけで、いつか、しれっと元の古びた知立駅に戻るんじゃないか」と思っていた。


実家では、テレビを設置するだけでは済まなかった。それまで使っていたテレビは、親父がこだわって買ったらしく、テレビ台にスピーカーやアンプが内蔵されていた。テレビ台はそのまま使いたかったけど、小さくて、新しいテレビが乗らなかった。このテレビ台の解体は相当キツくて、二人で汗だくになった。ネジが大量に使われていたし、至る所がボンドで接着されていた。母ちゃんが親父の遺影に向かって、「こんな面倒なもの買いやがって」と悪態をついた。

このテレビ台の解体中にとんでもない物が出てきた。僕が18歳の時にとんねるずの番組に出た時のビデオテープだ。恥ずかしいから、僕はこのビデオを観た事がない。今になっても観たくない。母ちゃんに見つかる前にこっそり捨てたのだが、母ちゃんはゴミ袋からこれを見つけた。そして、僕が捨てないように別の場所に隠された。僕は親父の遺影に向かって、「こんなもの保管しやがって」と悪態をついた。


実家はテレビを買い替えたが、我が家は冷蔵庫を買い替えた。それまでは、東京にいた頃に使っていた小さな冷蔵庫で、親父が買ってくれた物だった。名残惜しかったけれど、あまりにも容量が少なかった。特に飲み物が入らないのが不便で、お茶と牛乳とドレッシングしか入らなかった。新しい冷蔵庫は容量が倍になって、常に、彼女用のビールと僕用のウイスキーと炭酸水も冷やす事が出来るようになった。キンキンに冷えたハイボールは言うまでもなく、この暑い季節に最高だ。



最高過ぎた。

ハイボールが進みすぎて、アルコール依存度が跳ね上がった。こうなるとダイエットどころでは無い。空腹を紛らすために飲んでいたけれど、記憶が無くなるまで飲むと、かなりの高確率で、家にある食べ物を食べ尽くす。そして、LINEやSNSで他人に迷惑をかける。そもそも、ハイボールで飲んでいるくせに、毎回ウイスキーが1リットル減っているのだから、これはダイエットになっていない。ウイスキーが1リットル飲めるようになっている事も良くない。十日足らずで引くほど酒の空き瓶が増えた。


これに対応するべく、まず、すぐに食べないものは徹底して冷凍する事にした。さすがに凍った物は酔った僕でもかじらないだろう。そして、ウイスキーは大量に冷やさず、泥酔しない程度だけ冷やす事にした。Twitterやfacebookは通知をオフにして、見つけにくい場所へアプリを隠す。LINEはこまめにトークを消す。これでどうなるのかは、まだ分からないので様子をみなければ。もし失敗した場合、僕は翌朝に歯が折れているかもしれない。携帯のアプリの配置がめちゃくちゃになっているかも知れない。



親父が買ってくれた小さな冷蔵庫は、僕のアルコール依存度を抑える事に大いに貢献していた。死んでもなお、僕を守っていてくれていたのかもしれない。

捨てちまった。あーあ。