ダイエットは順調で結局18キロ痩せた。痩せる事が楽しくなって、パチンコ屋で並んでいる時でさえひっそりとスクワットをしていた。
さらに痩せた嬉しさで服をいろいろ買った。服を買うのが楽しくなって、洗濯するのも楽しくなって、Tシャツにさえキチンとアイロンをかけるようになった。
パチンコ屋の朝イチに、眠そうな顔しながら上下スウェットとかで並んでる客もいる中、朝風呂に入ってきて、シャキッとしてて、寝癖もなく、アイロンのかかった服を着て、ブラックコーヒー片手に上下運動をしている気持ちの悪いやつ。それが僕だ。ついに完成した。
全てが順調だったのに、ある日、彼女のプリンをひと口貰った瞬間に全てが壊れた。自分で「あ、これはもう止めれない」と分かった。彼女のプリンは全部食べてしまい、その勢いで家にあったお菓子は全部食べた。じゃあコンビニでまたお菓子を買い足そうとなって、2000円分くらい買ったのに、僕が30分もしないうちに全部食べてしまって、これはもったいないから薬局で買おうとなって、またたくさん買ったのに、全部僕が食べた。お腹が痛くなっても食欲が止まらなかったし、咳をした勢いでお菓子を吐いてしまっても「吐いたからまた食える」と食べ続けた。
次の日からはもう気持ちが立て直せなくて、毎日大量のお菓子を食べています。
彼女はもともとダイエットに反対していたので、「それだけ飢えてたんじゃない。食べたらいいじゃん」と今回の爆食いに賛同してくれるので、調子に乗って「あー、酒も飲もうかなー」とつぶやいてみたが、なんの返事も無かった。聞こえていないはずはないのだが、部屋からは冷蔵庫のぶーんという音しか聞こえなかった。
だから僕はお菓子を爆食いしています。
