2021-05-08

酒をやめるしかなくなった。その3

 オムライスを食べ終えて、帰宅。昼3時。

帰宅後、彼女は「なぜ携帯が岐阜駅にあるんだ」とぶつぶつ言っていたが、しばらくすると、夜勤明けで寝てなかったので、さすがに寝ると言ってくれた。もう怖いから寝てくれて助かった。なんで岐阜駅にあったのか僕にも分かるわけがない。


彼女が寝てから、ふと「結局のところ、携帯もある。財布もある。傘すら持って帰ってきてる。ちょっとのタクシー代を失っただけじゃないか」と思ってしまった。じゃあ、禁酒するほどの事じゃなかったんじゃないだろうか。


彼女が起きて、少し機嫌が回復していた場合。どういう言い方で説明したら「それもそうだね」と笑って許してくれるだろうかと考えてみたが、昼の怒りが再熱する姿しか見えなかった。母親を使って「私たちが騒ぎ過ぎただけだから、許してやって」と連絡させる手も考えたが、事態がさらに悪化するどころか親にさえキレられる可能性も浮かんできた。もう酒が飲める気がしない。


気持ちを切り替えて、体重計に乗る事にした。昨日今日とめちゃくちゃ食ってる。何キロ増えたんだろう。怖いけど、ここで体重計に乗らなかったらダイエットまで断念してしまいそうだから乗ってみた。

なんと体重は増えておらず、むしろ今回のダイエット期間で1番痩せていた。これは感動した。

どこをどう彷徨い歩いたのか分からないけど、長時間歩いた事が良かったんだと思った。あ、もしかして、酔っ払った僕はただ痩せようとしていただけなんじゃないだろうか。結婚式中の暴飲暴食は、理性のある方の僕も気にはなっていた。そう考えると、もし携帯を持ったままずぶ濡れになっていたら、携帯は水没していた。ま、まさかわざと落としたとでも言うのだろうか。よく考えられている!

あの時は、2発もビンタしてしまって申し訳なかった。ビンタは「する方も、される方も痛い」とはこの事か。どっちも僕だから当たり前か。


こんな気持ちの時に、物語を書いたら「ごんぎつね」が生まれるんだろうなあ。

酒をやめるしかなくなった。その2

 次の日。朝6時に目が覚めるも久しぶりの二日酔いで動けない。彼女は夜勤から帰ってきていないし、どーせ携帯は無いし、靴擦れヒドイし、寝るしかない。

靴擦れは、カカトだけに収まらず、クルブシや、足の指の第一第二関節の2箇所ずつ、ほとんどの指が徹底的にやられていた。


昼過ぎに彼女が帰ってきた。昨日大変だったんだよーと教えようと思ったら、すでに知ってた。知ってたし、めちゃくちゃ怒ってた。僕自身はツラかったけど、別に彼女に怒られるような事はしてないかと思ったら、結婚式後に僕との連絡が途絶えたせいで、親戚中が心配をして、自宅や一宮駅、岐阜駅まで僕を探しまわったらしく、もちろん彼女にも連絡がいったらしい。

酔った僕がどこかへ行ってしまう事はよくある事で、毎回「無事でもないけど、死にもしない」という感じなのだが、親戚はそんな僕の酒癖に慣れていなかったので予想外の惨事になっていた。

なので、彼女から「仕事だけは真面目にやりたいからもう勘弁して欲しい」と怒られたが、僕には「親や親戚が騒ぎ過ぎただけで、大した事じゃない」と言い返すような図太さは持ち合わせておらず、ひたすら酒やめますと小声で何度も繰り返した。

この後、無くした携帯を探しに行くぞと彼女が言い出して、僕は携帯はとっくに諦めていたのだけど、何か僕じゃないモノへ怒りをシフトさせようとしている彼女に「靴擦れがひどくて行けません」なんて言えず。僕としては付き従う以外の選択肢は無かった。今日の彼女はずっと顔が怖い。


一宮駅の名鉄や、JR、交番で聞いてみたがやはり携帯は無かった。ふと「アイホンを探す」の機能は使えるのだろうかと思って、彼女の携帯から探してみたら岐阜駅にあった。あった!この機能は使えるんだ!と感動したけど、あまりはしゃぐと彼女の機嫌を損ねるので今日一日は感情を殺す事にした。


岐阜駅で携帯を受け取って、帰りに何か食べる事にしたが、ここでも「ダイエット中だからさ、家に帰ってからタマネギ食べるよ」とは言えなかった。オムライスを食べた。

酒をやめるしかなくなった

 ダイエットは順調で結構痩せた。とりあえずスーツは着れるようになった。


5月5日。コロナがこんな状況だけど、すでに何度も延期しまくってるので。という事で従姉妹が結婚式をした。ダイエット中ではあるけど、この日にスーツが着れたのだから今日は好きに食べて、好きに飲む事にした。

従姉妹とは10年に1回会うか会わないかの関係なので、馴れ初めの話やら、同僚の挨拶やら、そういう行程が全く心に響かない。従姉妹は学校の先生をしていて、ラグビーをやっていて、僕とは趣味がまるで違う。従姉妹の友人もラガーマンだらけ。僕は親族として出席なので友達がいない。ウイスキーが唯一の友達。

こうなると、その唯一の友達にすがりつくしかない。居場所がない。


で、気がついたら結婚式はあっという間に終わっていた。式がいつ終わったのかも分からないが、僕は道を歩いていた。居場所が分からない。

また意識がなくなって、次に気がついた時には自宅まであと徒歩30分あたりの場所だったけど、駅から歩いていたらこの道は通らない。そもそも最寄りの駅から10分で帰宅できる。なんでこんな所を歩いているんだろう。足が痛い。時間が分からない。でもあと30分だから頑張ろう。意識を保とう。と頑張ってみたが残念ながら意識がなくなった。

次に意識が戻った時がキツかった。もう自宅まで2時間かけても帰れないような場所にいて、靴擦れで足は血まみれ、結構な雨量の中、傘をささずに傘を杖代わりにして歩いていた。時間を見ようとしたら携帯がない。タクシー呼べない。周りは田んぼだらけ。

あと30分で帰れたはずなのに、なんでこんな事になってるんだ。足が痛くて傘を杖にしなきゃ歩けないんだったら適当な場所で座っててくれよ。この道は普段行ってるパチンコ屋の道じゃねえか。何考えてんだ。こんなぼろぼろの状態でバトン渡しやがって。なんでいつも目覚めた時に尻拭いしなきゃいかんのだ。と、めちゃくちゃ腹が立った。前回同様、僕は自分自身を全力でビンタした。今回は2回ビンタしてやった。

コンビニまで歩いて、タクシーを呼んでもらって帰宅。車って速いなあと、流れる景色を見ていたらすっかり気分が良くなった。タクシーっていいな。


家に帰って、ふと時間が気になって時計を見たら夜3時くらいだった。

2021-05-06

昨年末〜3月

 去年の大晦日。僕は彼女と「今日だけは朝から酒を飲もう。好きなだけ飲んで、食べたい物を食べよう」と決めて、朝から好きなように飲んで食べて過ごした。

年が明ける前に「密を避けるためにも、今から初詣に行ってしまおう」と11時半からくらいから神社に行った。

家に帰ってから、年が明ける頃。僕はポロポロと涙を流して「ああ、辛かった。長かった」と言った。彼女は僕の頭を撫でてくれた。


年が明けて2月。オヤジの一周忌。太ったので去年のオヤジの葬式の時はスーツのズボンのチャックが閉めれなかった。さて一周忌はというと、最初からズボンは諦めていた。普段履いている黒のワイドパンツにスーツのジャケットという服装で挑んだのだが、今回は太り過ぎてジャケットのボタンも止めれなかった。仕上がりが怖くて鏡で確認出来なかった。叔母から「なおくん、その格好で大丈夫?」と言われたが、大丈夫だと思ってこんな格好になった訳ではない。帰宅後に体重が80キロまで増えていた事を知った。5月には従姉妹が結婚式をするので、この姿で人目に晒されるのはツラい。スーツを買い替えるかダイエットするかの2択だがもちろんダイエットを選択した。


いろいろ試したけど、僕が1番手ごたえを感じている「脂肪燃焼スープ」で痩せる事にした。