2023-07-26

バイクその4

 バイクのレギュレターとは、発電した交流の電気を直流に変えてバッテリーに充電させ、なおかつ、余分な電気は熱として放出する役割がある。なので、レギュレターが壊れた場合、余分な電気も丸ごと充電してしまう「過充電」と、交流から直流に変えられない「無充電」がある。過充電だった場合、真っ先にヘッドライトがダメになる。ブレーキを踏めばブレーキランプもダメになるし、ウインカーを使えばウインカーランプもダメになる。気持ちが良いくらいに次々と電装系が壊れていく。それほど時間もかからずにバッテリーもダメになる。無充電の場合は、たんにエンジンがかからなくなる。無充電のほうが軽症ではあるけれど、無充電の場合は、レギュレターが原因ではない可能性が出てくる。過充電ならレギュレターが原因でほぼ確定だが、無充電の場合は「そもそも発電していない」という可能性もあるのだ。こっちの場合、ジェネレータが死んでいる可能性があって、ジェネレータの交換は、レギュレターの交換とは比較にならないほど手間がかかる。ビッグスクーターは修理が面倒で、問題がある箇所に辿り着くだけでも相当な時間を要する。


ジェネレータがダメだった場合、自力で交換できる気がしないから、祈る気持ちでレギュレターを交換した。不幸中の幸いで、無充電の原因はレギュレターだった。過充電だったら、全てのライトも交換だった。本当に運が良かった。


僕はこれに安堵していたが、彼女は「過充電ならとりあえず乗って帰って来れただろうし、すぐにレギュレターが原因だと確定出来たでしょ。無充電だったから、5時間半もバイクを押したし、無駄にバッテリーを交換したし、小牧からバッテリー運ばずに済んだじゃん。何回死にかけた?買ったばかりのTシャツも変な油汚れが付いたよ」と言った。


全くその通りだ。が、今それ言わなくても良いじゃないか。

とにかくバイクは直った。